スリランカの教育は日本経済にもつながる
スリランカの学校に行けない学生たちは、就職するのも困難で、炉端で物を売って労働しています。スリランカの教育事情を見てみると、実は義務教育(中学生まで)は95%以上の就学率なのですが、中学生・高生生になると、学費が払えないために学校にいくことを諦めざるを得ない子供たちが出てきます。なんと中学・高校への進学率はいっきに半数に減ってしまいます。また、その後の大学進学率といえば、もう一握り。大学入試のような試験にパスをしないといけないのですが、合格率が極端に低いのです。企業に勤められるのはこの大学を卒業したエリートのみの数パーセント。さらに、その彼らたちは、さらなる可能性を求めて海外に出てしまうケースが非常に多いのです。この循環が続き、いつまで経っても教育を満足に受けられない子供たちが減らないのです。
そんな中、実際にSNECCの元里子で、現在は日本に移住し、家庭を育みながら、仕事をしているスリランカ人(30歳)がいます。彼は、スリランカの田舎町出身で、両親が亡くなり、祖母に育てられたため、義務教育後は取ってきた魚を売って労働をしていました。しかし、彼は義務教育期間の成績が優秀で、本当は勉強を続けたかった。そこで、SNECCの里子として登録を行ったところ、里親さんに巡り合い、再び学校に通うことができるようになったのです。大変真面目な彼は、日本の里親さんへの感謝と、日本への憧れ・興味、そしてスリランカへの社会貢献を胸に、トップクラスの成績で高校まで卒業したのです。そして、卒業後はあえて大学進学を選ばず、働きながらSNECCの就職支援を使って日本の企業とのビデオ面接に取り組み、そして、彼はついに念願の日本で就職先を見つけ、移住しながら仕事をしています。そんな彼の働きぶりは、雇用主も認めるほどで、会社の生産性を伸ばすきっかけになってくれていると話を聞きました。彼自身も、勉強することで広がる可能性や新しい世界をスリランカの友達、学生たちに教えたい、その環境を作っていきたいと日本で学びを深めています。
スリランカは2009年の内戦終結後の経済発展がめざましい国で、実は、世界の投資家も注目している国です。そして、日本を始め、多くのアジア諸国、そしてヨーロッパの国々も企業の進出をしたり、スリランカを拠点に活動を始めたりしています。
スリランカは、昔からの日本と良好な関係性を結んできたこともあり、大変な親日です。日本語を学んで留学に行ったり、日本企業に勤めたりしたいという学生が、急上昇しているのです。スリランカ人は、大変真面目で作業効率がいいという雇用データも出ていますから、今後、ちゃんとした教育を受けて就職をするスリランカ人には、ますます社会からの期待が高まることでしょう。
スリランカ人の教育支援は、将来的に日本経済の発展へもつながっていくのではないでしょうか。
2020年、スリランカの教育環境は、まだまだ苦しい状態にありますが、今の学生が教育を受けることで、これからさらに良い政治や経済、社会環境をつくっていってくれることを期待しています。